レチノールとビタミンC。どちらもスキンケアでよく名前を聞く成分ですが、この2つは一緒に使っていいのかというご質問を診察室でよく伺います。ネットには一緒に使ってはいけないと書かれた記事もあれば、相性がいいと書かれた記事もあり、迷ってしまうのも無理はありません。結論から言うと、併用はできます。ただし、重ねる順番と時間帯を決めておいたほうが、肌への負担が少なく続けやすくなります。この記事では、なぜそう言えるのかと、具体的な組み立て方を順に説明します。
結論:併用はできる。ただし同時に重ねるより、朝と夜で分けるほうが続けやすい
もっとも現実的なのは、朝にビタミンC、夜にレチノールという分け方です。理由は2つあります。
- レチノール類は光や空気で変化しやすい成分のため、夜に使うほうが扱いやすい。
- 2つを同時に重ねると、肌にとっては新しい刺激が一度に2つ増えることになる。合わなかったときに、どちらが原因か分からなくなる。
一緒に使ってはいけない、という説明を見かけるのは、主に酸性度(pH)の違いが理由として挙げられているためです。ただしこれは、化粧品として設計された製品どうしであれば、そこまで神経質になる必要はありません。むしろ実際の診察室で問題になるのは、pHよりも刺激が重なることのほうです。
レチノールとビタミンCは、それぞれ何のための成分なのか
2つは働く場面が違うので、役割で覚えると組み立てやすくなります。
| 成分 | 化粧品としての位置づけ | 使いやすい時間帯 | 使い始めに起きやすいこと |
|---|---|---|---|
| レチノール類 (レチノール/パルミチン酸レチノール ほか) |
年齢に応じたうるおいのケア。キメをととのえ、肌をすこやかに保つ目的で配合される | 夜 | 乾燥、皮むけ、ヒリつき(使い始めに出やすく、レチノール反応と呼ばれることがあります) |
| ビタミンC誘導体 (水溶性/油溶性/両親媒性) |
うるおいを与え、キメをととのえる。日中のスキンケアに組み込みやすい | 朝・夜どちらも | つっぱり感、乾燥(型と濃度による) |
どちらも化粧品に配合される場合は、うるおいを与える、肌をすこやかに保つ、キメをととのえるといった範囲のはたらきです。医薬品のように症状を治すものではありません。それぞれの型の違いはパルミチン酸レチノールとはとレチノールは何歳から?年代別の肌の変化とはじめ方の目安で詳しく説明しています。
朝と夜、どう振り分けるか
肌の状態と、使うレチノール製品に合わせて、次の3パターンから選んでください。
| パターン | 朝 | 夜 | 向いている方 |
|---|---|---|---|
| A:時間帯で分ける (基本形) |
ビタミンC+日やけ止め | レチノール | どちらも初めて、または片方に慣れている |
| B:曜日で分ける | ビタミンC(毎日) | レチノールは週2〜3回から | レチノール製品を初めて使う方。以前レチノールで皮むけした方 |
| C:夜に重ねる | 日やけ止め中心 | ビタミンC → レチノールの順 | 両方に慣れていて、朝の時間が取れない |
レチノールを毎日使うか、週2〜3回から始めるか
使うレチノール製品によって変わります。レチノール類は製品ごとに配合されている型も量も違うため、一律に何回とは言えません。
- レチノール製品を初めて使う場合は、週2〜3回から始めるのが無難です。肌の様子を見ながら、問題がなければ少しずつ回数を増やしてください。
- so.Effie の Serum・Cream は、レチノールを初めて使う方でも続けやすいことを前提に設計しています。毎日お使いいただいて構いません。
いずれの場合も、乾燥や皮むけが出たら回数を減らして様子を見てください。回数を増やすことより、続けられる頻度を見つけることのほうが大切です。
重ねる順番は「水っぽいものから、油っぽいものへ」
パターンCのように同じ夜に重ねる場合、順番は化粧水 → 美容液 → 乳液・クリーム、つまりテクスチャーの軽いものから重いものへが原則です。ビタミンC配合の化粧水を先に、レチノール配合の美容液やクリームを後に置くと、この原則どおりに収まります。
間隔をあける必要はありません
1つめが乾くのを待ってから2つめを塗る、といった時間の決まりはありません。続けて重ねていただいて構いません。順番さえ守っていただければ、間隔を気にする必要はないと考えています。
一緒に使うとヒリつく方に共通する3つのこと
合わなかったという方のお話を伺うと、成分そのものより使い方に原因があることが少なくありません。
- 両方を同じ日に、同時に始めている。新しいものは1つずつ、2週間〜1か月あけて足してください。同時に始めると、合わなかったときにどちらが原因か分かりません。
- 使う量が多い。レチノール類は種類も配合量も製品ごとに違うため、適量はその製品の使用方法に書かれている量です。多く塗っても比例して結果が良くなるわけではなく、乾燥や皮むけだけが強く出ます。迷ったら、まず書かれている量より少なめから始めてください。
- 保湿が足りていない。レチノール類を使う期間は、いつもより保湿を1段階足すつもりで組み立ててください。乾燥した状態の肌は、同じものを塗っても刺激を感じやすくなります。
赤み・かゆみ・ヒリつきが数日続く場合は、効いている証拠ではありません。いったん中止して、皮膚科にご相談ください。
ビタミンCの「型」で、併用のしやすさは変わる
ビタミンC誘導体は1種類ではありません。大きく水溶性・油溶性・両親媒性の3つに分かれ、どの型かで使用感も、レチノールとの組み合わせやすさも変わります。
- 水溶性(リン酸型のAPS、グルコシド型など) — さっぱりした使用感になりやすい。脂性肌・混合肌の方が使いやすい。
- 油溶性(テトラヘキシルデカン酸アスコルビルなど) — しっとりした使用感。乾燥しやすい方に向く。
- 両親媒性 — 水にも油にもなじむように設計されたもの。
ここで押さえておきたいのが製品の酸性度(pH)です。ビタミンC製品には酸性に寄せて設計されたものがあり、そうした製品ほど、レチノールと同じタイミングで重ねたときにピリつきを感じやすくなります。逆に、pHが中性付近に設計されたビタミンC誘導体の化粧水であれば、時間帯を厳密に分けなくても組み合わせやすくなります。「ビタミンCが合わなかった」という方は、成分そのものではなく型やpHが合わなかっただけ、ということがあります。
選び方の全体像はドクターズコスメはどう選べばいい?皮膚科専門医が教える成分の見分け方にまとめています。
ハイドロキノンやトラネキサム酸も使っている場合
3つ以上を組み合わせるなら、足す順番はさらにゆっくりにしてください。
レチノールとハイドロキノンの併用について調べる方は多いのですが、ハイドロキノンは刺激が出ることのある成分で、濃度や肌の状態によって使い方を変える必要があります。自己判断で重ねるのではなく、肌の状態を見たうえで組み立てるほうが確実です。当院ではハイドロキノン配合の製品を院内でのみお取り扱いしており、使い方をご説明したうえでお渡ししています。オンラインストアでは販売していません。
トラネキサム酸は、TAホワイトニングローションのように医薬部外品の有効成分として配合されているものがあります。医薬部外品と化粧品では表示できる効果の範囲が法律上異なります。詳しくは肝斑とトラネキサム酸と肝斑とは、そして正しい対策とはをご覧ください。
注意が必要な方・場面
- 妊娠中・授乳中の方 — レチノール類を配合したものは、使用の可否を担当医にご確認ください。
- レーザーやピーリングなどの施術直後 — 再開の時期は、施術を受けた医療機関にご確認ください。
- 皮膚科で外用薬を使っている方 — 併用の可否を担当医にご確認ください。
- レチノール類を使う期間中 — 日やけ止めを毎日使ってください。SPF・PAの選び方は日やけ止めのSPFとPAの選び方で説明しています。
初めて使う成分は、腕の内側に少量を塗り、24時間ほど様子を見てから顔に使うと安心です。
so.Effie で組み合わせるなら
so.Effie(ソーエフィー)は、ふじもと皮フ科クリニック院長・藤本栄大が処方設計を監修したドクターズコスメです。レチノールとビタミンCの両方を扱っているので、組み合わせを前提に選べます。C moist milk は、油溶性ビタミンCとレチノールの両方を1本に配合している乳液状美容液です。2品を用意しなくてよいので、組み立てがいちばん簡単になります。
| 商品 | 主な成分 | こんな方に | 別の商品をおすすめする方 |
|---|---|---|---|
| C lotion | 水溶性ビタミンC誘導体(APS)/pH中性付近/オイルフリー | 朝のビタミンC担当に。過去にビタミンC製品でピリついた方、脂性肌・混合肌の方 | とろみのある化粧水が好みの方 |
| C moist milk | 油溶性ビタミンC+レチノール | 1本で両方を取り入れたい方。レチノールを初めて使う方にも。乳液選びに迷っている方 | さっぱりした化粧水だけで済ませたい方 |
| so.Effie Serum | バクチオール+パルミチン酸レチノール | 夜のレチノール担当に。刺激が不安で踏み出せなかった方 | 妊娠中・授乳中の方は担当医にご相談を |
| so.Effie Cream | 2種のレチノール(1種はカプセル化し天然セラミドでコーティング) | 乾燥が強く、レチノールを続けられなかった方 | さっぱりした仕上がりが好みの方 |
| スキンケアUVプロテクト | 日やけ止め | レチノール類を使う期間の朝に | — |
この記事の組み立てを試すなら
朝と夜、2本で分けるか、1本にまとめるか
2本で、朝と夜を分ける
朝:C lotion
pHを7前後の中性に設計した、水溶性ビタミンC誘導体(APS)配合の化粧水。オイルフリー。
夜:so.Effie Serum
バクチオールとパルミチン酸レチノールを配合した美容液。毎日お使いいただけます。
まず1本から始めたい方へ
C moist milk
油溶性ビタミンCとレチノールを1本に配合した乳液状美容液。2品を用意しなくても、この記事の組み立てをそのまま始められます。
どちらが良い・悪いということではなく、使用感と肌質で選べます。使ってみて乾燥や皮むけが出たときは、回数を減らすか、いったん中止してください。
バクチオールについては話題のバクチオールとは、40代以降の組み立て方は40代のスキンケアもあわせてどうぞ。
よくある質問
レチノールとビタミンCは一緒に使ってもいいですか?
併用できます。ただし同じタイミングで重ねるより、朝にビタミンC、夜にレチノールと時間帯を分けるほうが、肌への負担が少なく続けやすくなります。両方が初めての場合は、どちらか一方から始めて、2週間〜1か月あけてもう一方を足してください。
同じ夜に重ねる場合、順番はどちらが先ですか?
テクスチャーの軽いものから重いものへ、つまり化粧水 → 美容液 → 乳液・クリームの順です。ビタミンC配合の化粧水を先に、レチノール配合の美容液やクリームを後に重ねると、この原則どおりになります。間隔をあける必要はなく、続けて重ねていただいて構いません。
レチノールは毎日使っていいですか?
使う製品によります。レチノール製品を初めて使う場合は、週2〜3回から始めて、肌の様子を見ながら回数を増やすのが無難です。so.Effie の so.Effie Serum・so.Effie Cream は、初めての方でも続けやすいことを前提に設計しているため、毎日お使いいただいて構いません。乾燥や皮むけが出たら回数を減らしてください。
ビタミンCは朝に使うと日やけしやすくなりますか?
いいえ、ビタミンC誘導体を朝に使ってはいけないという決まりはありません。むしろ朝に使いやすい成分です。ただし日やけ止めは、どの成分を使っていても毎日使ってください。
レチノールで皮むけしたら、やめたほうがいいですか?
まず頻度を減らし、保湿を足してください。それでも赤み・かゆみ・ヒリつきが数日続く場合は使用を中止し、皮膚科にご相談ください。刺激感は効いている証拠ではありません。
ハイドロキノンとレチノールは併用できますか?
肌の状態や濃度によるため、自己判断で重ねることはおすすめしていません。当院ではハイドロキノン配合の製品を院内でのみお取り扱いし、使い方をご説明したうえでお渡ししています。オンラインストアでは販売していません。
ビタミンC誘導体はどれを選べばいいですか?
使用感と肌質で選んでください。さっぱりした使い心地が好みで脂性肌・混合肌の方は水溶性、乾燥しやすい方は油溶性が使いやすい傾向があります。過去にピリついた経験のある方は、pHが中性付近に設計されたものを選ぶと使いやすいことがあります。
効果を判断するには、どのくらい続ければいいですか?
替えるのは1品だけにして、2週間〜1か月は同じ条件で続けてから判断してください。肌の状態は季節や生活でも変わるため、同時に複数を替えると何が合ったのか分からなくなります。
まとめ
レチノールとビタミンCは併用できます。大事なのは、同時に始めないことと、時間帯を決めておくことです。
- 基本形は朝にビタミンC、夜にレチノール。
- 同じ夜に重ねるなら軽いもの → 重いものの順。間隔はあけなくてよい。
- 新しいものは1つずつ、2週間〜1か月あけて足す。
- レチノールは製品によって頻度が違う。初めてなら週2〜3回から、so.Effie の Serum・Cream は毎日でよい。
- レチノール類は量を増やさない・保湿を足す・日やけ止めを毎日使う。
- ビタミンCが合わなかったのは、成分ではなく型やpHが合わなかっただけかもしれない。
どれから始めるか、迷ったときは
合わないものが続いている、何を選べばいいか分からない ── そうした場合は、肌の状態を実際に見たうえでお話しするのがいちばん確実です。ふじもと皮フ科クリニックでは肌診断装置を用いた評価も行っています。
記事監修者
ふじもと皮フ科クリニック 院長
藤本 栄大(ふじもと えいた)
医学博士
防衛医科大学校卒業後、自衛隊病院・防衛医科大学校附属病院での勤務を経て日本皮膚科学会皮膚科専門医を取得。同大学院在籍中に米国UC Davis(皮膚科学教室)へ留学し医学博士を取得。海上幕僚監部衛生企画室勤務、南極観測船「しらせ」医務長(第54次)、Pacific Partnership参加等を経て、2015年にふじもと皮フ科クリニックを開院。so.Effie の処方設計を監修しています。
院長プロフィール・研究業績はこちら →

