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日やけ止めの棚に並ぶSPF50+の文字を見て、とりあえず高いほうを、と選んでいませんか。SPFの数値は「守りの強さ」ではなく「どれだけ長く延ばせるか」の目安であり、しかもその数値は決められた量を塗ったときの測定値です。実際には、数値を上げることよりも、塗る量と塗り直しのほうが結果を左右します。この記事では、SPFとPAが何の数値なのか、どのくらい塗ればよいのかを、皮膚科専門医が説明します。
結論 日常はSPF30・PA+++以上を、2〜3時間おきに塗り直す
日常的に使うなら、SPF30・PA+++以上を目安にしてください。そのうえで、屋外にいる日は2〜3時間おきに塗り直します。長時間の屋外活動や、水辺・雪山ではSPF50・PA++++を選び、塗り直しの間隔を短くします。
数値を上げるほど安心になるわけではないのは、実際に塗られている量が、測定時の量より少ないことがほとんどだからです。ここを直すほうが、数値を上げるより効きます。
SPFとPAは、それぞれ何の数値なのか
SPFはUVB(紫外線B波)に、PAはUVA(紫外線A波)に対する目安です。2つは別のものを見ているので、どちらか一方だけでは足りません。
| UVB(紫外線B波) | UVA(紫外線A波) | |
|---|---|---|
| 指標 | SPF(数値) | PA(+の数、最大PA++++) |
| 届く深さ | 主に表皮 | 真皮まで届く |
| 主に関係する変化 | 赤くなる日やけ、色素斑 | 黒くなる日やけ、ハリの低下 |
| 窓ガラス | 多くはさえぎられる | 通過する |
| 季節・天候の差 | 夏に強く、冬に弱い | 年間を通じて差が小さい |
室内で窓ぎわに座る日や、曇りの日にも日やけ止めをおすすめするのは、UVAの性質によるものです。「今日は外に出ないから」は、UVAには当てはまりません。
「SPF30なら10時間もつ」という計算は成り立たない
20分で赤くなる人がSPF30を塗れば20分×30=600分、つまり10時間——という説明を見かけますが、この掛け算は現実には成り立ちません。理由は3つあります。
- 測定時の塗布量が多い — SPFは1平方センチあたり2mgを塗って測ります。顔全体ではおよそ0.8g、クリームならパール粒2つ分に相当します。実際にはこの半分以下しか塗られていないことが多く、量が半分になると防御力は数値どおりには残りません。
- 時間とともに落ちる — 汗、皮脂、マスクや衣類の摩擦、無意識に顔を触る動作で、塗った膜は削れていきます。
- 紫外線の強さは一定ではない — 正午前後の数時間と朝夕とでは、同じ1時間でも受ける量が違います。
ですから、「何時間もつか」ではなく「何時間おきに塗り直すか」で考えてください。
塗る量と塗り直しの目安
量と回数が整っていれば、SPFの数値をむやみに上げる必要はありません。
1回に塗る量
顔全体で、クリーム状ならパール粒2つ分、液状なら1円玉2枚分がひとつの目安です。一度に全部を伸ばさず、2回に分けて重ねると、量を確保しやすくなります。小鼻のわき、目のまわり、耳、首の後ろ、髪の生えぎわは塗り残しやすい場所です。
塗り直しの間隔
屋外にいる日は2〜3時間おき。汗をかいたあと、タオルで拭いたあと、水に入ったあとは、時間にかかわらず塗り直します。ウォータープルーフでも、拭けば落ちます。
メイクの上から塗り直すには
崩したくない場合は、日やけ止め効果のあるパウダー、ミスト、クッションタイプが使いやすいです。どれも一度で足りる量は塗れないので、重ねる回数を増やして補います。ムラなく重ねるより、回数を確保するほうが実用的です。
数値以外に見ておきたいところ
- 紫外線吸収剤か、散乱剤か — 散乱剤(酸化チタン、酸化亜鉛)のみのものは「ノンケミカル」と表示されることがあります。白浮きしやすい一方、刺激を感じにくい方もいます。どちらが上ということはなく、肌の反応と使用感で選んでください。
- ウォータープルーフかどうか — 汗や水に強いぶん、落とすときに専用のクレンジングが必要な製品もあります。日常使いには、落としやすさを優先するほうが続きます。
- 落とし方が生活に合うか — 落とすのが面倒な製品は、結局その日だけになりがちです。
- 続けられる使用感か — 日やけ止めは毎日塗って初めて意味があります。使用感の好みは、数値と同じくらい重要です。
日やけ止めだけに頼らない
塗り直さなくてよい対策を組み合わせると、全体の負担が下がります。つばの広い帽子、日傘、UVカットの上着、サングラス。紫外線が強い時間帯(おおむね午前10時から午後2時)に屋外の予定を寄せない、という工夫も有効です。
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化粧品と医薬部外品の違いや、全成分表示の読み方はドクターズコスメはどう選べばいい?皮膚科専門医が教える成分の見分け方で説明しています。レチノールや角質ケア成分を使っている期間は、紫外線対策をいつもより強めてください。詳しくはレチノールは何歳から?年代別の肌の変化とはじめ方の目安をご覧ください。
よくある質問
SPFは高いほどいいのですか?
用途によります。日常生活ならSPF30・PA+++以上で足ります。長時間の屋外活動、水辺、雪山ではSPF50・PA++++を選んでください。数値を上げても、塗る量が少なければ表示どおりの防御にはなりません。
SPF30を塗ると何時間もちますか?
時間の掛け算では計算できません。SPFは決められた量(1平方センチあたり2mg)を塗ったときの測定値で、実際にはそれより少ない量で塗られていることがほとんどです。屋外にいる日は2〜3時間おきに塗り直してください。
1回にどのくらいの量を塗ればいいですか?
顔全体で、クリーム状ならパール粒2つ分、液状なら1円玉2枚分が目安です。一度に伸ばさず、2回に分けて重ねると量を確保しやすくなります。
曇りの日や室内でも塗ったほうがいいですか?
はい。UVAは雲や窓ガラスを通過し、季節や天候による差もUVBより小さいためです。外に出ない日でも、窓ぎわで過ごすなら塗っておくほうが安心です。
メイクの上から塗り直すにはどうすればいいですか?
日やけ止め効果のあるパウダー、ミスト、クッションタイプが使いやすいです。いずれも一度では十分な量になりにくいので、重ねる回数で補ってください。
子どもにも同じものを使っていいですか?
製品ごとに対象年齢の記載があります。低刺激をうたう製品でも、初めて使うときは腕の内側に少量を塗り、24時間ほど様子を見てから顔に使ってください。
飲むタイプの日やけ止めだけで大丈夫ですか?
塗るタイプの代わりにはなりません。併用するものとお考えください。
まとめ
数値を上げるより、量と回数を整えるほうが効きます。最後に整理します。
- 日常はSPF30・PA+++以上。長時間の屋外はSPF50・PA++++。
- SPFはUVB、PAはUVAの目安。UVAは曇りでも窓ごしでも届く。
- 「SPF30で10時間」の掛け算は成り立たない。
- 顔全体でパール粒2つ分。2回に分けて重ねる。
- 屋外にいる日は2〜3時間おきに塗り直す。汗・拭き取り・水のあとは即。
- 帽子・日傘・衣類など、塗り直さなくてよい対策と組み合わせる。
塗っているのに色ムラが増えてきた、という場合は、肝斑など別の要因が混ざっていることがあります。気になるときは肝斑とは、そして正しい対策とはもあわせてご覧ください。
記事監修者
ふじもと皮フ科クリニック 院長
藤本 栄大(ふじもと えいた)
医学博士
防衛医科大学校卒業後、自衛隊病院・防衛医科大学校附属病院での勤務を経て日本皮膚科学会皮膚科専門医を取得。同大学院在籍中に米国UC Davis(皮膚科学教室)へ留学し医学博士を取得。海上幕僚監部衛生企画室勤務、南極観測船「しらせ」医務長(第54次)、Pacific Partnership参加等を経て、2015年にふじもと皮フ科クリニックを開院。so.Effie の処方設計を監修しています。
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